貿易初心者が学ぶ!L/C決済のメリットとデメリット
2015/05/29
photo byHoward County Library System
私は今の仕事としてアパレル業界の香港にある貿易公司の営業を行っています。
日本のメーカーとの取引について公司側から言われている絶対的な契約条件は「L/C決済」であることです。
生産国によってはT/T決済がベストである国もありますが、そうでない場合は「L/C決済」が条件となります。
一方で日本のメーカーに勤務していた時も中国の各公司との決済条件は90%以上はL/C決済でした。
ここで一度基本に戻り、このL/C決済とはどういったメリットがあり、またどういったリスクがあるのかを自分の復習もかねてまとめました。
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L/C決済とは
L/Cとは日本語では信用状です。英語ではLetter of Creditとなり略してL/Cとなります。
それではこの信用状とは何のことでしょうか。
Wikipediaでは下記のように解説されています。
信用状(しんようじょう)とは、貿易決済を円滑化するための手段として、銀行が発行する支払い確約書。
貿易取引は、相手が遠隔地にいるため、商品を発送しても買い手が確実に支払いをするかどうかを確証する手段に乏しい。このために発達した手段が荷為替手形という方式であるが、これに銀行による信用供与を加えてさらに確実にした手段が信用状決済である。
少し言い回しが分かりづらいかもしれませんが、簡単に言えばL/Cとは銀行が買い主の代わりに売主に対して確実に支払いをするということを確約する書類です。
そしてL/Cによる代金決済のことをL/C決済と言います。
L/Cには輸出者への支払方法としての機能だけではなく、貿易全体の指示書としての意味があります。
貿易では、契約書/メール/電話/FAXなどによって指示を行っても双方従わないかもしれないというリスクがあります。
L/Cは、双方の銀行間にて様々な条件を付加することで、その合致しなければ支払されないリスクを輸出者へ強制します。
逆に、輸入者は条件に合致する請求が到着した場合に、支払いが強制されるリスクを負います。
つまり、早期契約締結とL/C開設が、双方の輸送指示/スケジュールの約定になります。
L/C決済のメリット
輸入者側のメリット
指定した期日までに船済みしてもらえる
輸出者側のメリット
代金を確実に回収できる
貿易取引とは相手が遠く離れており、また国が違い文化も違うためあらゆる面で不確実な要素が発生します。
特に取引の肝である輸入者の「発注した製品が期日通り確実に船積みされるか」という点と輸出者の「確実に代金は支払われるのか」という点が不確実であったら取引として成立しません。
そこでL/Cに双方の銀行間にて様々な条件を付加することで、条件に合致しなければ支払されないリスクを輸出者に強制します。
逆に、輸入者は条件に合致する請求が到着した場合に、支払いが強制されるリスクを負います。
つまり、早期に契約締結させL/C開設をすることが、双方の輸送指示・スケジュールの約定となり不確実性を確実にしてくれます。
L/C決済のデメリット
・銀行との信頼関係がなければ信用状自体開設できない
L/C開設に当たり上記のようにそもそも銀行からの信用がなければ信用状の開設はできません。
・発行銀行のL/C発行手数料が発生する
T/T決済に比べトータルで費用がかかってしまいます
・必要書類も多く手続きに時間がかかる
必要である書類もT/T決済に比べると多く時間もかかってしまいます
・書類の輸入地への到着に時間がかかる
書類の原本が輸出地銀行から輸入地銀行に送られるのですが、到着するのが遅れ「商品は到着しているのに、書類は届いてない。」といた事態が頻繁に起こり得てしまいます。
・書類に一か所でも不一致事項(ディスクレ)があれば銀行の保証が得られない
L/Cとは書類が全てL/C条件を満たしていることを持って初めて機能するものです
おわりに
実は現在は貿易の決済方法でL/C決済は30%以下となっています。私の仕事をしている業界ではまだL/C決済は多く行っていますが、貿易の分野の中ではすでにトレンドではありません。
メリットとデメリットがまさにトレードオフとなっていますが、後進国への進出を続けているアパレル業界においてはまだ多く行われている決済方法のため今回はまとめてみました。